四季の変化に富み、自然豊かな日本。
その恵みへの感謝は、祭りや行事として古くから人々の暮らしの中で育まれてきました。
そして自然の恵みには「食」が深く結び付き、文化や歴史、そしてふるさとの味を守り継いでいます。
「行事食」は、1年や人生の節目といった特別な日に食べられます。
季節の節目を祝う行事食は、年末年始のおせち料理やお雑煮、七草粥、
雛祭りのハマグリの潮汁、端午の節句の柏餅、お盆のおはぎなど、数多くあります。
季節の行事食を見ると、例えばおせち料理には「三つ肴」または「祝い肴」と呼ばれる
3品があります。
関東は黒豆、数の子、五万米(ごまめ)を指し、
関西は黒豆、数の子、たたきごぼうがそれにあたります。
それぞれにも意味があり、黒豆は、邪除けの色である黒色と、「まめに暮らせるように」という願いの語呂合わせ。数の子は鰊(ニシン)の卵ですが、かつては「かど」と言う名でよばれたこともあり、
「かどの子」がなまって「かずの子」になったと一説には言われます。
卵の数が多いことが子孫繁栄の願いと結びついています。
五万米は、干した片口鰯を炒って甘辛く味付けしたもの。
「田作り」とも呼ばれますが、これはかつて田植えの肥料にしたとき五万俵もの米がとれた、
という伝説によるもの。豊作の願いが込められています。
人生の節目にも行事食はあります。
例えば「お食い初め」は、人生を祝う初めての行事食といえるものかもしれません。
生まれて100日目または120日目に行うもので、地域によって時期や祝い方の差がありますが、
生まれてきた子が一生食べ物に困らないことを願った儀式で、
「箸立て」「箸揃え」「百日(ももか)」とも呼ばれます。
地域性などがありますが、一般的なものとしては、お膳に、尾頭付きの鯛、赤飯、煮物、
香の物、吸い物などを並べ、子どもの口にそれぞれを1口ずつ運び、食べるまねごとをします。
長寿にあやかるということで、祖父母など最も年長の人が食べさせる地域もあるそうです。
1つ1つに決まりがあって大変、と思うかもしれませんが、気負うことは全然ありません。
節目をお祝いする気持ちが何より大切。
お花を飾ったり、その日にちなんだお菓子を食べながら、
「今日は○○の日だね」と家族みんなで節目の意味を話しながら
楽しく過ごすことはとても素晴らしい食育体験になるのではないでしょうか。